読書と賢さの関係
賢い子は読書をするイメージがあるのではないでしょうか。そのイメージは正しいようです。読書する子は、脳の発達がよく、賢い子が多いことが分かっています。ここでは、読書と賢さの関係についてまとめました。
【調査結果】小学生はどのくらい本を読む?
学研教育総合研究所の調査によると、2019年8月調査時点での小学生の平均読書冊数は、月3.1冊でした。
男女別でみると、男子の平均が2.8冊、女子の平均が3.4冊と、女子が少し多めです。学年別でみると、小学1年生がピークで、学年が上がるごとに読書冊数は減少していきます。小学1年生の平均は3.8冊でした。
さらに、30年前と比較すると、読書数は、なんと1/3にまで減っています。
学年が上がると塾や習い事で読書の時間が減ってしまうこと、さらにスマホやYouTubeの利用時間が伸びていることが原因かもしれません。
読書がもたらすメリット
読書習慣がある子どもの脳は、神経回路の発達がいいと脳のMRI分析によって分かっています。読書をすることで脳が発達し、賢くなると言えるでしょう。ここでは、読書のメリットを紹介します。
集中力
読書は、じっと文字を追いかける作業です。テレビや動画の視聴と比較して、集中力が求められることは実感として分かるのではないでしょうか。じっと座って本を読む続けることで、集中力が向上します。
読書には、忍耐力も必要です。分からない言葉が出てきたときは、前後から想像するか辞書で調べる必要があります。特に印刷された本の場合、最後まで読まなければ、結論やオチが分かりません。どんな結論に至るのかを知るために、我慢強く読み進める必要があります。
読書で培われる集中力と忍耐力は、学力向上にもつながる大事な能力です。読書をすると学習に必要な基礎力が養われることから、読書をする子は成績もいい傾向があります。
読解力・語彙力
東北大学加齢医学研究所の研究で、本をたくさん読んでいる子ほど読解力テストの点数が高いという結果がでました。対象は4~18歳の子どもです。また、3年後にも同じ対象者に読解力テストを行ったところ、読書週間のある子の方が点数の伸びがいいという結果が出ています。
参照:公益財団法人 文字・活字文化推進機構「リレー講演 学校教育のデジタル化・子どもの未来 講演録」
読書をすれば、日常会話ではあまり使わない単語に触れ、漢字も覚えていきます。語彙力が自然と蓄積されるのはもちろん、前後の文脈から推測するという力も養われるため、総合的に読解力が向上したと考えられるでしょう。
感受性
物語のある本を読めば、登場人物の心情の理解が大切です。また、活字から情景を想像しながら読む必要もあります。想像力が刺激され、脳が活性化されることは誰しもが経験したことがあるでしょう。
特に絵や写真の補足がない活字だけの本ほど、想像力が強く刺激されます。
想像力が豊かになると、つられて向上するのが感受性です。架空の物語の中だけではなく、実際に関わる人の気持ちや触れる自然に対する想像力が働くようになり、優しい心が育つでしょう。
楽しいから読むを習慣にするには
子どもが読書するようになるには、読書の楽しさを知ってもらうことが大切です。親に「本を読みなさい」と言われて読んでも、文字をただ目で追うだけになり、なかなか読書のメリットは得られないでしょう。
本の楽しさを知ってもらう第一歩は、読み聞かせです。物語を追いかけることの楽しさを経験すると、自然と自分で物語を読みたい欲がでてきます。
また、絵本、地図、小説、科学、歴史、伝記など、多くの種類の本をいつでも手に取れるように本棚を作ってみるのもおすすめです。興味があるときに、すぐに手に取れ環境にいると、読書習慣がついてきます。
まとめ
読書には、集中力や忍耐力を鍛え、語彙力や読解力を養い、感受性を発達させるなどのメリットがあります。一方で、現代の子どもは活字離れが顕著です。賢い子に育てるためにも、読書の楽しさを体験できるよう、読み聞かせや本棚づくりをしてみてください。